まな板削り直し3万枚以上の実績により、まな板に適した材種を勝手にランキング致しました。
これは当工房の削り直しの実際の経験からの独自見解です。
メリットだけでなく木のデメリットも教えて欲しいというお客様からのご要望によるもので、
削り直しのご依頼で届くまな板を長きに渡り見続けてきたからこその判断です。

木の専門家と言われる林業関係、製材所や木材市場関係者、木こり、宮大工、
木工職人、家具職人、指物師、木を扱うすべての人でも分からないことがあります。
使い古したまな板をたくさん見続けてきた「まな板削り直し職人」からの見解です。
まな板をこれから購入しようとお考えの方のご参考にして頂けたら幸いです。



★ 1位 ひば
(青森ヒバ・能登ヒバ)


 ■ メリット
  ・ 包丁当たりが良い
  ・ ヒノキチオール成分を多く含み抗菌効果が高い
  ・ 黒ずみにくい
  ・ 香りが良い
  ・ 特に寒い地方でゆっくり成長して育った青森ヒバや、
   能登ヒバ(別名:档/アテ)は最高の材です。


 ■ デメリット
  ・ 伐採可能な青森ひば材の殆どが国有林管理下の樹齢200年以上の材なので高価
  ・ 使用開始時の頃はひばの香りがやや強い(ただし徐々に消えてゆきます)

  <ヒノキチオール精油について>
   20世紀後半までは日本産ヒノキには「ヒノキチオール」は含まれていないという
   認識が広まっていましたが、これは青森ヒバや能登ヒバと同族種であるタイワンヒノキから
   分離されたのが最初であったためヒノキチオールと名付けられたとのことです。
   「ヒノキ」には少ないので国内においては「ヒバ」から得るのが一般的です。

 


★ 2位 ヒノキ(檜・桧)


 ■ メリット
  ・ 比較的安価
  ・ 包丁当たりが良い


 ■ デメリット
  ・ ヒノキチオールはほとんど含まれていない
   (※当初ヒバだけだと思われていたが、ヒノキにもわずかに含まていることが判明)
  ・ 産地によって価格変動(特に木曾ヒノキなどのブランドヒノキは高価)

  <日本産ヒノキにヒノキチオールはほとんど含まれておりません!>
   20世紀後半までは日本産ヒノキには「ヒノキチオール」は含まれていないという
   認識が広まっていましたが、これはひばと同族種のタイワンヒノキから
   分離されたのが最初であり、国産のヒノキの含有量が少なかったためです。
   ヒノキには少ないので国内においてはヒバから得るのが一般的となっております。

 ※ヒノキのまな板なのに「ヒノキチオール」が多く含む、などと謳った商品にはご注意下さい。

 

<参考写真>

 上記写真は当工房で製造販売した
 「青森ひば&日光ひのき」リバーシブルまな板です。
 2年ほど経ってから削り直しのご依頼で届きました。
 下馬評通り「青森ひば」の方が断然黒ずみにくいですね!
 ※このまな板は表と裏で「ひば」と「ひのき」別材種を貼り合わせて
 作った当工房オリジナルのまな板です。
 ※削り直しをした後の写真も一応載せておきますね →★


★ 3位 いちょう(銀杏)


 ■ メリット
  ・ 油分が多いので、水のはじきが良い
   (油分が多いその証拠としてイチョウのまな板表面にはセロハンテープが
    貼り付かない、もしくはとても貼り付きづらいです)
  ・ 包丁当たりが良い(特に料理人の愛好家が多いです)


 ■ デメリット
  ・ 青変(アオという変色)が発生しやすい →「アオ」の写真
  ・ 使用開始後の黒ずみがやや出やすい
  ・ いちょう独特の油分が表面に浮き出てくる →「いちょうの油分」の写真
  ・ このことにより見た目がやや悪い(悪くなる)
  ・ 臭いに好き嫌いが分かれる (特に雌木はかなり匂いがキツイです、ギンナン臭)
  ・ 反りが比較的出やすい木です(反りの中でも特に厄介な”捻れ”も発生します)
  ・ 平らなところに置いた時、カタカタが発生するまな板は大抵ホオかイチョウです
  ・ 葉節(小さな節穴)が多い
  ・ やや高価

 


★ 4位 カヤ(榧)
 本榧(ホンカヤ)


 ■ メリット
  ・ 包丁当たりが良い
  ・ カヤ独特の素晴らしい芳香 ※個人的な感想ですが一番好きな香りです^^
  ・ 木材の中ではとりわけ鮮やかな黄色で美しい


 ■ デメリット
  ・ 将棋盤や囲碁盤にも使われる高級木材で、国内蓄積量も少ないのでやや高価

 


★ 5位
 サワラ(椹)


 ■ メリット
  ・ 比較的軽く扱いやすい
   (一見ヒノキに良く似ていますが持ってみると、あれ?と思うほど軽いです)
  ・ 包丁当たりが良い
  ・ 昔から桶などにも使われる木なので水湿に強い


 ■ デメリット
  ・ やや柔らかいので包丁痕が付きやすい
  ・ 商品数がやや少なく手に入りづらい

 


★ 6位 ヤナギ(柳)
/ねこ柳・バッコ柳など


 ■ メリット
  ・ 包丁当たりが良い(特に料理人の愛好家が多い)
  ・ 木自体に復元力があるのでまな板に向いている

 ■ デメリット
  ・ まな板の中でもヤナギ材は最も高価
  ・ 道管繊維が荒く小口(木口)から水分を多く吸い込み、そのため腐食が進行しやすい
  <参考写真>
   ヤナギの腐食しやすい小口面(木口面) →★ →★
   そのためなんと小口(木口)に剥がしづらいビニールテープを貼って売る会社も →★

 


★ 7位 ベイヒバ・米ひば
(イエローシーダー/アラスカヒノキ)


 ■ メリット
  ・ 包丁当たりが良い
  ・ 香りが良い(※日本のひばとはまったく異なる香りです)
  ・ 黒ずみにくさ(黒カビ発生の抑制効果)は抜群
    (→当工房で実際に黒カビ発生実証実験をしまして確認済みです)
  ・ 比較的安価


 ■ デメリット
  ・ 外国材なので燻蒸処理(殺虫処理)して輸入している可能性あり?(不明)

 

 
★ 8位 スプルース(スプルス)類


 シトカスプルース・アラスカヒノキ・ベイトウヒ・ベイマツ・ヘムロック・ベイツガ・アラスカヒノキ
 ベイマツ・エンゲルマンスプルース・ダグラスファー・ホワイトスプルース・ホワイトディール
 コモンスプルス・ノルウェイスプルース・ウェスタンホワイトスプルース・カナダトウヒ・モミ等
 まとめ方がかなり雑ですが、まな板としての分類なので上記材種すべてここに入れてしまいます。


 ■ メリット
  ・ 比較的安価
  ・ 安価なのにかかわらず、比較的木目が通直な柾目のまな板が多い
  ・ そのため、まな板の反りや捻れが起こりづらいです
  ・ 価格からすれば十分な価値


 ■ デメリット
  ・ 水湿にやや弱い
  ・ 外国輸入材なので燻蒸処理されている?
  ・ 使用しているうちに色味が濃くなってくる(※特にデメリットではない)
  
 

 <ここから下(9位から下)は、まな板としてはあまりお勧めできません>
(当工房の独自見解ですのであしからずご了承ください)
 
★ 9位 ほお(朴の木)


 ■ メリット
  ・ ある程度の硬さがあり固いものを切る際には良い(広葉樹です)


 ■ デメリット
  ・ 辺材部分(白太部分)が水湿にとても弱く、かなり腐食しやすい。
   ※芯材(赤身)だけのまな板なら良いのですが、朴のまな板は白太入りの商品が多いです。
   ※芯材は”緑色っぽく”、辺材は”白っぽい”ので芯材と辺材の境界の区別は非常に明瞭です。
    <参考写真>朴の木の辺材部分は腐食しやすいです→写真1 →写真2 →写真3
  ・ やや重く扱いずらい
  ・ やや固い木なので削り直しには不向き
  ・ 反りが非常に出やすい木です(反りの中でも特に厄介な”捻れ”も多く発生します)
  ・ 平らなところに置いた時、酷い対角的なカタカタが発生するのは大抵ホオのまな板です

 


★ 10位 キリ(桐)


 ■ メリット
  ・ 非常に軽く扱いやすい ※日本国内では最も軽い木とされています
  ・ 比較的安価 ※ほとんどが中国などからの輸入外国材です
   (国産の桐はほとんど市場に出てこないです)


 ■ デメリット
  ・ まな板には柔らかすぎる(不適) ※柔らかくて軽いってことは、、お分かりですよね^^
  ・ そうです、非常に腐食しやすい木です  ※下記、写真1〜3を参照
  ・ 乾きが早く水切れが良いと謳っているサイトもあるが、桐が乾きやすいとは思いません。
  ・ 黒ずみも発生しやすい
  ・ 柔らかすぎるので包丁の傷が非常につきやすい
  ・ ゴムの木のまな板同様、桐のまな板も「料理の鉄人」という有名人を起用し、
   いかにも良いまな板かのようなイメージを消費者に持たせ販売しております。
   プロの料理人が桐のまな板が良いなんて絶対に思わないはずです。
  <参考写真>桐のまな板の腐食 →写真1 →写真2 →写真3

 


★ 11位 オリーブの木


 ■ メリット
  ・ 木目が美しく見た目がとても綺麗 (マーブル模様)


 ■ デメリット
  ・ まな板には硬すぎる(不適)
  ・ 欠けやすい
  ・ 削り直しは非常に不向き

 


★ 12位 ゴムの木
  (本当は順位を付けたくありませんが。。)


 ■ メリット
   ・ 特になし(まな板には不適です、まな板には向いていません)


 ■ デメリット
   ・ 黒ずみが非常に発生しやすい
   ・ 集成材の商品が多く接合部がひび割れてきやすい
   ・ 使っているうちに欠けなどが発生してくる
   ・ 安価な輸入材にも関わらず製品が異常!に高い(5500円ほどの価格)
   ・ 外国材なので薫蒸処理をしてる?(不明)
   ・ まな板にはやや硬すぎる、そして何といっても重い
   ・ 特に「ラ・バーゼ」という商品は、板の接ぎ合わせにフィンガージョイントという
    方法を使っているため、その部分から黒ずみが内部深くまで入り込みやすく
    とても困ったまな板です。。。くれぐれもご注意下さい。下記参考写真参照
   ・ 桐のまな板同様、このラ・バーゼまな板も著名な料理人や料理研究家を起用し、
    いかにも良いまな板かのようなイメージを消費者に持たせ販売しております。
   ・ 販売元は「自社で削り直しも出来ます」と大々的に宣伝販売していたにも関わらず、
    なんとその販売元は自社の削り直しサービスを突如、無責任にもやめてしまいました。
    あくまでも推測の域を出ませんが、このまな板の特性上、削り直しサービス事業での
    仕上がりに関するクレームが頻繁にあったのだと考えられます。
    そのため、行き場を失ったこのラ・バーゼのまな板が当工房に多数枚届いており、
    実質、削り直しサービスの受け皿となっている状態でございます。
    (ちなみに当工房ではこのラ・バーゼのまな板を既に500枚以上削り直ししております)
  ・ 先日お客様から聞いた話なのですが、ラバーゼの販売元に削り直しを頼んだところ、
   現在はコロナのため削り直しサービスを中止していると言われたそうです。
   でもコロナが始まるよりかなり前にやめていましたのでこれは嘘になります。ご注意を!
   ・ フィンガージョイントもさることながら、そもそも「ゴムの木」がカビやすいです。
    
  <参考写真>
   黒ずみが酷いゴムの木のまな板 →写真1★ →写真2★
   フィンガージョイント部分に発生した亀裂 →写真3★
   ※削り直し依頼で工房に届くまな板のほとんどが上記のような感じです。

 





総合的に「ひば」が最も良いと考えます

まな板削り直し工房として、自信と確信を持ってお勧めできます!

以上、いかがでしたでしょうか。
メリット、デメリットをよく知った上で木のまな板をお選びいただけたら幸いです。

 
上記ランキングについてご異議がある方、例えば、一位は「ひば」じゃなくて「いちょう」でしょ、
又は「ヒノキ」だよ、いやいや「ヤナギ」が一番だよ等、独自のご意見をお持ちの方は
「エビデンス」を添えて、杉本木工々房のお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。
3万枚以上の削り直し経験から、分かりやすくご説明させて頂きます。





  ★まな板に適した材種一覧 (硬さ・柔らかさ一覧)★ 





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